■ 2020年4月~2021年3月の研究会実施記録 

第241回研究会(センシング技術応用研究会と合同開催)
「味覚センサと発光材料の最新技術 」
今回の研究会は、センシング技術応用研究会(SSTJ)とニューセラミックス懇話会(NCF)との共催で行います。この研究会では、「味や匂いを計測するセンサ技術」と「カドミウムフリー量子ドットを用いた発光材料」についてご講演して頂きます。今回は、分野の異なる二つの講演になっていますが、いずれも興味深い最先端の内容です。

日時:2020年(令和2年)8月28日(金)13:25~16:35
場所:堺市産業振興センター 4階 セミナー室 5
(大阪府堺市北区長曽根町183番地5)
講演(1)味と匂いのセンシングの現状と展開
九州大学高等研究院 特別主幹教授/
五感応用デバイス研究開発センター  特任教授 都甲 潔 氏
 近年、味と匂いの計測技術の研究開発がとみに活発になってきている。味覚センサは既に実用化され、全世界の食品・医薬品メーカーで活躍している。匂いセンサについては開発が遅れていたものの、環境や医療用途、食品向けと幅広い展開が期待されるため、多くの機関で研究開発されている。測定原理は質量や電気抵抗、酸化還元を測るなど多岐に渡る。講演では日本で開発された味覚センサと電気抵抗を測る人工嗅覚システムを紹介する。

講演(2)カドミウムフリー量子ドットの機能向上
大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻 桑畑研究室
講師 上松 太郎 氏
 半導体量子ドットはこの10年間、実用的な蛍光材料として飛躍的な発展を遂げた。バンド間遷移を利用した発光は有機、無機のいずれの蛍光色素とも性質を異にするが、表面修飾剤を含む粒子全体の構造が発光に寄与しているため、設計と合成には様々な知識が必要とされる。本講演は、11、13、16族元素によって構成されるカドミウムフリー量子ドットから色純度の高い発光を得るまでの過程と、同材料の将来展望について紹介する。



第242回研究会
ORIST技術セミナー 大阪府域におけるファインセラミックス分野に対する連携支援事業
「セラミックス製造の基盤技術 」
セラミックス、特にファインセラミックスの製造に関するプロセス技術はブラックボックス化されています。長年にわたり培われてきた各社の要素技術がキーテクノロジーになっています。今回の研究会では、結晶成長法のひとつであるベルヌーイ法とセラミックスの粉体、接合等のセラミックス製造のための基盤技術について講演して頂きます。なお、今年は、毎年12月に開催してきました特別講演会(会員相互の交流会)をコロナ禍により中止します。今回は、通常の研究会に加えて交流の場としてファインセラミックスに関する技術シーズを大阪産業技術研究所の方々からオンラインで紹介して頂きます。合わせて、大阪産業技術研究所 和泉センターで取り組んでいる、大阪府域におけるファインセラミックス分野に対する連携支援事業として開催いたします。

日時:2020年(令和2年)12月15日(火)13:15~16:15
場所:大阪産業創造館 6階 会議室 E
(大阪市中央区本町1-4-5)
講演(1)人工結晶メーカーの変遷と市場について
有限会社クリスタルベース
代表取締役 椿 昌人 氏
 研究開発から産業用までを支える人工結晶について、結晶メーカーおよび結晶専門商社として供給側からの視点で述べる。特に小中規模のメーカーのベルヌーイ法の結晶合成の黎明期から最盛期までを中心に述べる。また近年の世界の結晶市場の動向についても紹介する。

講演(2)研究室の技術シーズ紹介(オンライン配信)
大阪産業技術研究所 応用材料化学研究部 セラミック工学システム研究室
 当研究室では、大阪府域におけるファインセラミックス分野に対する連携支援事業に取り組んでいる。事業の一環として行う、本講演では、粉体、接合、電池に関する技術シーズについて発表し、あわせて当研究所が所有するセラミックス製造関連装置を紹介する。
 技術シーズは、「セラミックスの3Dプリントに向けた粒子設計」、「摩擦攪拌スポット溶接を使用したセラミックスの接合技術」、「全固体電池の実用化に向けた要素技術開発」について発表する。