■ 2021年4月以降の研究会実施記録 

第243回研究会(センシング技術応用研究会と合同開催)
「光超音波 3D イメージング技術(可視化計測技術の開発)」
今回の研究会はニューセラミックス懇話会とセンシング技術応用研究会との共催で行います。この研究会では「光超音波 3D イメージング(可視化計測技術の開発)」をテーマにして最先端でご活躍されておられる先生方に御講演いただきます。また関連する最先端の製品紹介をしていただきます。

日時:2021年(令和3年)4月16日(金)13:15~16:50
場所:オンライン開催
講演(1)光超音波3Dイメージングによる生体計測技術の開発
京都大学大学院 医学 研究科 教授 椎名 毅 氏
 光超音波イメージングは、光と超音波の計測技術を融合させることで両者の利点を併せ持ち深部でも高い空間分解能で、微細血管の構造や血液の性状などの組織特異性に関する情報を可視化できる新しい生体計測技術として期待されています。本講演では、この光超音波イメージングの原理と、医療応用に向けた研究開発について紹介します。

講演(2)光超音波技術による工業材料の非破壊センシングへの応用
愛媛大学大学院 理工学研究科 生産 環境工学専攻
工学部附属 i (アイ)センシングセンター長
教授 中畑 和之 氏
 光超音波技術は、レーザー光を照射したときの物質の熱弾性膨張によって励起する超音波を用いて、内部の構造を可視化したり材料特性を評価するものです。生体医療だけでなく工業材料へも応用が進みつつあります。ここでは、非破壊検査への応用として、光超音波技術を用いた炭素繊維強化樹脂 (CFRP)の内部きずの3Dイメージング、異方性材料の弾性スティフネスの推定などを紹介します。

<製品紹介>光超音波画像撮影装置の実現
株式会社Luxonus 統括主任 長永 兼一 氏
 2018年12月に創立いたしました株式会社Luxonusは光超音波技術を応用した画像撮影装置により新たな価値を生み出すことを目指しております。生体内の血管像を 3次元、高精細、リアルタイムに描出する装置の実際の動作と共に、臨床におけるポテンシャルを紹介いたします。



第244回研究会
「材料プロセスとマテリアルズインフォマティクスの進展セラミックス製造の基盤技術 」
セラミックスの作製には、材料プロセスの省エネ化や新素材を効率的に探索するマテリアルズインフォマティクスの利用が重要になっています。一般的に、セラミックスの材料プロセスにおいて、熱処理には高温で長時間を要しているため、更なる省エネ化が求められています。また、セラミックス新素材の開発には材料プロセスの省エネ化や新素材を効率的に探索するマテリアルズインフォマティクスの利用が重要になっています。今回の研究会では、過熱水蒸気処理を用いた成形体の高速脱脂による材料プロセスの省エネ技術と統計学/機械学習の枠組みによるマテリアルズインフォマティクスについて、それぞれ講演して頂きます。

日時:2021年(令和3年)6月11日(金)13:55~16:45
場所:オンライン開催
講演(1)過熱水蒸気処理技術の成形体脱脂プロセスへの応用
一般財団法人ファインセラミックスセンター 材料技術研究所 環境・エネルギー材料グループ
上級研究員 和田 匡史 氏
 通常のセラミックス成形体の脱脂プロセスにおいては、成形助剤の熱分解・酸化に伴う成形体の割れを防止するため、非常に緩やかに昇温する必要があり、製造コストや熱エネルギー消費の増大の一因となっている。本講演では、過熱水蒸気処理による成形体の高速脱脂の可能性について検討した結果を示すとともに、そのメカニズムについて述べる。併せて、過熱水蒸気を利用したCFRPからの炭素繊維回収技術についても紹介する。

講演(2)スパースモデリングによるマテリアルズインフォマティクスへの展開
筑波大学 システム情報系 准教授 五十嵐 康彦 氏
 本講演ではマテリアルズインフォマティクスの有効なアプローチの一つであるスパースモデリングについて講演する。スパースモデリングとは、実データを説明する記述子は本質的に少ないことを事前情報として仮定することで、少ない情報から全体像を的確にあぶり出す統計学/機械学習の枠組みである。この技術により、実験データを説明する有効な記述子抽出ができ、どのように効率的な材料開発に繋がるかを紹介する。